建て替えのメリット、デメリット。費用や、仮住まいの期間なども。
「 今住んでいる家が老朽化してきた」「手狭になってきたので広くしたい」「地震に耐えられる家にしたい」など、今住んでいる家というハードが、現在〜将来の暮らし方にフィットしない問題点が多くあって、その解決方法を検討するときに、いろいろな解決方法があります。
今回は、その解決方法のうち、建て替えにフォーカスして、そのメリットとデメリットをご紹介したいと思います。
建て替え?住み替え?それともリフォーム?
家というハードに起因して、あれこれ不便なことが多いと、その改善を考えます。家が狭ければ、引っ越しして大きな家に移り住んだり、寒ければ断熱材を追加でいれる工事をします。そのような大きな費用が発生するものだけでなく、見栄えが悪い場合はクロスの張り替え、必要な明るさがない場合は照明器具の交換などもハードの改善とていえます。
生活していく中でいろいろな不満点は大なり小なりあるものです。それらを問題点を把握して、どのように改善したいのか。どれくらいの予算で進めたいのか。などをまずは家族で共有することが大事です。意外と自分が気づいていないことがあったり、自分だけが見えている問題点などがあったりします。
小規模な対応でその問題を解決できているうちはいいのですが、場合によっては大きな工事をしないと問題が解決しない場合があります。
大きな方針としては下記の3つに分かれます。
1)建て替え
現在建っている建物を解体して、その敷地に新たに建築することをいいます。住み慣れた土地に、自由にプランニングした家を新たに建てます。費用は、、、、やっぱり大きくかかります。新たに家をつくるということでそれまでに抱えている問題を解決した家にしやすいです、
2)住み替え(=引っ越し)
古い家と土地を売却して、売却代金で、これをもとに新居の購入費や諸経費、 引越し費用にあてます。住み替えの場合、エリア・立地条件・戸建かマンションか等、多くの選択肢から検討することができます 。工事をせずに、問題解決できる物件を見つけられた場合は、総費用を抑えることができますが、、、、なかなか理想の物件には巡り会えないので、理想に近づけるためには大なり小なり工事が必要の場合がほとんどです。
3)リフォーム・リノベーション
既に建っている家の柱や基礎の部分は残したまま部分的、または全面的に改修して問題点を改善します。予算に合わせた工事ができるのでお財布に優しい工事も可能です。が、問題点をすべて解決しようとなるとやはり工事費はアップしがちです。
リフォームとリノベーションの違いは下記のとおりです。
- リフォーム
水回りなどの住設備や屋根、外壁など、機能の性能や機能を回復のための改修工事や、クロスの張り替え、畳の入れ替えなどの見た目をきれいにする工事。 - リノベーション
使い勝手や形状などを大きく変更しながら性能や機能を大きく改善する工事、解体して柱や 梁 を露出させ、内部の間取りを考え直したり増築するといった大規模工事になることが多い。
現状のお住まいの状態を整理して、今後の住まい方とご予算から、上記の3つのうちのどれがあなたにぴったりなのかを検討してください。
建て替えのメリット
今回は上記で説明した3つの解決方法より、建て替えについて説明していきます。現在の家を諸問題を、根本的に解決できて、残る問題点が少なくて済む可能性が高いです。(もちろん、費用が一番多くかかる可能性が高いのですが、、、。)
では、建て替えのメリットを紹介していきましょう。
メリット 1:住み慣れた土地に住み続けられる
これまで暮らしてきた土地にそのまま住み続けられるので、ご近所や所属するコミュニティ、日々のお買い物、お子さんの通学もそのまま維持できる安心感があります。
また、これまでずっと暮らしてきた場所だからこそわかる「夏になるとこの方角から風が通りやすい」「2階のここからの眺めがとてもいい」などこれまでの経験を次の住まいのプランに 活か すことができます。
メリット 2 :間取りの制限が少なく自由に設計できる
リフォームやリノベーションだと、どうしてももともとの建物構造や仕上げなどに起因して、工事計画に制限が出てきがちです。
「連続した部屋の壁を取っ払って、広々としたリビングにしたいけれど、構造的な理由で真ん中にある柱を残さないと いけない 」「ショールームで見つけた大きいユニットバスを入れたいけれど、既存の浴室の場所には収まらない
」などなど。
建て替えだと、このようなリフォームやリノベーションで起こりがちな制限にとらわれず、今のお住まいから改善したいところを我慢する ことなく 計画しやすいです。家の中の段差を極力減らしてフラットにしたり、廊下幅や出入り口の幅を広げるなど何十年後のことを見据えた、総合的なバリアフリー工事を老いが始まる前に準備しておくことができます。
メリット 3 :耐震性が高められる
地震に対する倒壊・崩壊のしにくさ、強さは建築基準法によって定められています。その基準は建てられた年代によって異なります。
この基準が大きく変わったのが1981年、それ以前を旧耐震基準、以降を新耐震基準と呼んで区別しています。また2000年にも金物の規定や壁量のバランスなどさらに規定が加えられました。
古い基準で建てられた建物は基礎が弱かったり、壁が不足していたり、バランスが取れていなかったりと今の基準に比べて地震に弱い構造をしていることがほとんどです。建て替えの場合の新築物件は、最新の基準に沿って建てられるので、最低でも「現在の建築基準法に定められたレベルの耐震等級1」が保証されます。
リフォームの場合は耐震改修を行うことで耐震強度を向上させることができます。しかし、特に木造建築の場合、湿気やシロアリの被害により柱などの構造の多くが劣化していたり基礎の補強が広範囲において必要だったりすることが多いです。
躯体の状況が著しく悪い場合、新築と変わらない費用になることもあります。
このような 躯体 の状況は工事前の非破壊検査ではなかなか工事前の金額が確定しないのが本当のところです。解体してみなければ、建物の傷んでいる 箇所 や、傷み具合などがわからず、どの程度の補強が必要なのか、正確な検討と見積もりがつくれないなどといったところには心づもりして置かなければいけません。着工前の時点では費用が明確にわからないということが、大規模なリノベーションの構造補強工事の注意点です。
故に、いざ解体してみたら構造 躯体 のほとんどを改修しなければいけない状態で、当初の予算より高くなったりして、内装工事の費用などを構造補強にまわさなければいけないことなどもあります。
場合によっては、追加工事が高額な場合、予算を抑えるために選択したリノベーション工事が、新築と変わらない金額になるということもあります。
その点、建て替えの場合は建築費の総額が着工前に明確に提示されるので、資金の配分が明朗に勧めやすいです。
メリット 4 :断熱性能が高めやすい
この30年から40年ほどで、国内の住宅の断熱性能や気密性能は大きく向上しています。
既存住宅の断熱性能を上げる断熱リフォームでは、主に「開口部のみの断熱(=窓のガラスとサッシ枠の性能向上」「生活する部屋の断熱」「家全体を丸ごと断熱」の3パターンです。
しかし、「家全体をまるごと断熱工事」は、大規模リノベーションなどで壁や床や天井などをすべて撤去してやり変えるような工事でないと 実現不可能 です、。
今のお住まいで
- 光熱費が高い(=ランニングコストが高い)
- 冬の底冷えが 辛 い(=快適に過ごすことがむずかしい)
- ご年配の方と同居されている(= ヒートショック が心配)
などに当てはまる方は部分的な断熱工事よりも家全体を断熱工事する方がおすすめです。
特にご年配の方と同居されている場合、断熱性の低い家では暖かい部屋から寒い部屋へ移動する時に血管が収縮して起こる「 ヒートショック 」を起こす危険性が高いので、実はとても重要視すべき工事です。
このレベルの断熱性能を求められる方は、リノベーションよりも建て替えの方がより断熱性能、気密性能が 担保さ れた住宅に仕上げやすいです。
建て替えのデメリット
ここまで建て替えのメリットをお伝えしてきました。いいことばかりのような気がしますが、もちろん、気をつけておくべきデメリットもあります。
デメリット 1:仮住まいが必要
建て替えの場合、仮住まいへの引っ越しをする必要があります。 無垢材 を多用した注文住宅の場合、解体から新居へ入居するまで、工事期間が約6~8 ヶ月 ほどかかります。その間は仮住まいの家賃も必要です。
また今のお住まいから仮住まい、仮住まい先から新居へと2回引っ越しが必要なのでその分の手間や費用がかかります。
デメリット 2:総額のコストが高くなる
建て替えの場合、断熱工事や内部の左官工事や電気工事など、工事の種類によっては既存部分の解体や復旧などが必要ないものなどでは、リフォームやリノベーションよりも費用が抑えられる場合もあります。しかし、リフォームやリノベーションでは必要としない工事種類が多く、またなにもないところから家を建てますので工事総量も多くなります。そのため、総額では工事予算が高くなりがちです。
建て替えで必要な工事
- 既存の住宅の解体費
- 測量費
- 地盤調査費(必要であれば地盤改良費)
- 確認申請費
- 登記費用
- 建物本体費(全てが刷新されます)
に加えて、上記でも挙げた
- 仮住まい費(約6 ヶ月 ~8 ヶ月 間分)
- 引っ越し費(2回分)
などがあり、総額でみるとリフォームやリノベーションよりも高くなります。
デメリット 3:建築基準法により建て替えができない場合がある
正確にはデメリットではありませんが、現行の建築基準法が施行されるよりも前に建てられた家にお住まいの場合、敷地によっては現行の建築基準法により建て替えができない場合もあります。
このような場合、改修部分は新築に比べて将来的に 雨漏れ の原因になりやすいので建て替えの方が良い場合もあります。
今のお住まいの敷地や建物本体が、法的にどのような条件を持っているのか事前に把握しておくことが大切です。(この場合、工務店さんや設計事務所さんに相談されて、情報収集と現況の把握をしていただくことになると思います)。
建て替えのメリット・デメリットのまとめ
いかがだったでしょうか。家というハードを建てることが目的でなく、あくまでも「生活」というソフト面の充実のために家があります。あなたの理想の生活に近づけるためには、どのような形でハードを、ソフトにフィットさせるのか。このブログが、その解決方法を考える一助になれば幸いです。
最後に、住宅は 日々大切 に住まわれていても経年とともにいつかは不具合が出てきます。その都度、丁寧に修繕して住み続けるという選択も豊かな暮らしにつながるように感じます。
しかし、近年の異常気象や地球温暖化、これから起こるであろうと言われている巨大地震への対策という点では、この数十年で大きく向上した住宅性能の恩恵を総合的に預かりやすいのは新しい住宅です。今のお住まいの性能や法的な規制、改善したい内容を整理したときに、ご希望の内容が多い場合は、このブログで挙げたメリット・デメリットを検討しながら、コストが高くても建て替えが費用対効果高いと考えられるのではないでしょうか。
上記のメリット、デメリットについてあなたのお住まいについては、調査や整理は工務店さんや設計事務所さんにお手伝してもらったほうが費用がかかっても正確です。家づくりで気になっている業者さんあれば、まずは具体的なことのの前に計画全体の情報収集からご相談されたほうがいいかと思います。