シロアリ被害を古民家再生やリノベーションで対策する工事の種類をまとめました
輝建設の小原です。
当社は築260年の古民家を再生して事務所にしているそのせいか、よく大阪や奈良などの古民家や古い建売など木造住宅のリノベのご相談があり、調査にでかけます。工事前には必ず、床下にもぐって蟻害をよく見るのですがいろいろと気づくことがあります。そこから考えられることお伝えしたいと思います。写真は大阪市内の古民家調査のときのもの。大引が腐って、シロアリの食害がありました。
目次
1 DIYで駆除しにくいシロアリの対策
古民家再生希望のお客さんのところでいろいろと住まい勝手についてのご要望をお聞きする前に、実際に工事をする工務店として、いの一番に知っておきたいことは「建物の構造の傷み具合」! 木造住宅の場合、傷んでいる構造部材を取り替えるには、大工さんを始めいろんな職種の工事に渡るので、けっこうなお金がかかります。
写真の大阪市内の大正末期の町屋のように、再生工事のときに柱の腐れは根継ぎして、大引を入れ替えて、家の傾きを直しました。こんな感じで柱や梁が傷んでいる!これは取り替えないと家が倒れるかもしれん、やばい!というのは、たいてい「雨漏り」か「シロアリに食べられていること(蟻害)」が原因になっていることが多いです。
雨漏りは普段の生活の中でも気付きやすいので対応されている方がほとんどです。しかし、床下や壁の中のことなので、なかなか気づかない蟻害。古民家再生やリノベーションなどの事前調査や、解体工事のなかで住まい手さんが思っているより被害が大きいことがよくあります。今回は日本のシロアリといえば、この2種類「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」を想定した、古民家再生やリノベーションのときにできる対策をまとめてみました。
シロアリがでたときに、ホームセンターで買ってきた薬をまくようなことは、自分で簡単にDIYできますが、シロアリの活動しやすい場所が家にある限り、またシロアリが食害に再び逢う可能性は高いです。古民家再生やリノベーションのときだからこそ、できるシロアリ対策についてお話しします。
シロアリが木を食べるのは、木に含まれるセルロースを分解できるからです。セルロースを分解できる唯一の生物であるシロアリは地球上の木が土に還る手助けをしています。彼らは普段は地中で生活していますが、木造の人間に暮らしている我々にとって、シロアリに見つからないようにするのが一番です。(といっても、実際はなかなか難しいですが)。シロアリは湿気のある場所を好みます。まずはこのことを念頭に置いてこれからの文章をお読みください。
シロアリ対策1)土に近い木を減らす。
多くの古民家の場合、床の下の柱や束が石の上にのる石端建てなのでどうしても、木構造が土から近く、シロアリに発見されやすいです。シロアリは目が見えないので相当数の働きアリがアトランダムに進んで木部にぶち当たるまで探索します。
見つけると餌場までの道程にフェロモンを出してあっちに行ったら餌場ありますよ、みたいな方法をが巣の仲間と情報を共有します。ということは見つからないように地面から極力遠くにすればいいと考えます。
古民家再生工事やリノベーションでは柱以外の床を支える束を鋼製のものにいれかえることで、シロアリの食害にあうものを床下から少なくすることで、シロアリの食べ物を物理的に少なくして見つかりにくくしています。よく、地面に刺さった街路樹の木製の支柱が、シロアリに食べられているものをよく見かけますが、地面の中はシロアリの生活の場なので発見されやすいのです。
柱の腐れ部分を金属に置き換えることはなかなかできないので、その場合でもできるだけ地面につながる経路を少なくなるようにしてやります。上の写真は生駒古民家を再生した現場のものです。大黒橋が大きく蟻に食われていました(工事前にはすでに退散していたようです)。
写真右手木製の足止めのようなものの地面に触れている部分からシロアリがあがってきたはずです。もともとの土壁や、後ろのブロック基礎などでなかなか目視できない状況のなか、こんなに傷んでしまったのです。
家を少し持ち上げたり何やりしながら根継ぎ工事をしますので、古民家再生やリノベーションでないと根本的治療となる柱の根継ぎや入れ替えなどは非常に困難です。写真のような四方から大引が挿さっている大黒柱も写真のように根継ぎできます。柱にささる大引もほぞの代わりにボルト留めするなどで、新築のときの民家のようにしっかりと脚固めすることが可能です(@生駒市の古民家再生の現場)。
大きな石にすることで木を地面を離すということに建物を全面的に補修する古民家再生やリノベーションの場合、シロアリに食べられていた被害のある場所を取り替えることは比較的容易ですし、シロアリ対策を立てることが再発の可能性を減じることもできると思います。
古民家再生・リノベのシロアリ対策2)床下の乾燥をうながす
古民家やリノベーション工事にお伺いすると、小動物などの侵入を防ぐために縁側などの下に壁が加えられていたり、通風口が板などでふさがれていることがよくあります(ご実家とかそうじゃないですか?)。そうすると、換気が促されないので湿気がちになりやすいです。
その壁や板を撤去してステンレスメッシュなどで小動物が入れないようしながら、通風を確保します。そうすることで床下環境の乾燥を促して湿気を少なくして、シロアリが活動しにくいような環境や条件をつくります。
土台、大引など床下環境の材料を入れ替えする場合は水に強い桧を選定しています。床下レベルの構造材入れ替えときに湿気に水に強い桧を採用することで湿気に強い床下環境にします。写真は羽曳野でのリノベーションの現場。大引はコストダウンのため再利用しています。
古民家再生・リノベのシロアリ対策3)やっぱり点検はできるように
輝建設がシロアリ対策として、古民家再生・リノべーションで行っている基本的なシロアリ対策です。
昭和30年代までは、年末の大掃除のときに藁床の畳を干すとき、床板をめくって床下の構造をみるというシロアリが来ていないか確認できる機会がありました。古民家再生・リノベなら、床下に簡単に潜れるような点検口を設けておくことをお勧めしています。発見が早ければ、いろいろ手を打つことができます。(輝建設では定期点検してくださる提携のシロアリ駆除業者さんをご紹介できます)。
古民家再生・リノベのシロアリ対策4)まだまだ他にもできることがある
コンクリートのベタ基礎のようにシロアリが活動している地中に接する。家の外周にえさ木となるようなものにいれてシロアリの存在を確認するセントリコンといったものがあります(シロアリがいた場合は脱皮を阻害する薬を染み込ませたものに入れ替える)。それぞれ一長一短ありますが、それらを組み合わせて補うことでシロアリがたてものに寄り付かなくなる可能性がアップします。
今日のpoint
「完璧なシロアリ対策はない=いろんなものの組み合わせでシロアリ被害に遭う可能性をどんどん下げる」