移築じゃなくても古民家の再利用できます
昨年、京都市内の町屋が新しい建物を建てるということで解体されることになりました。当社のお客様が、その町屋を移築しようということでご相談にこられて、そのお手伝いをさせていただくことになりました。
いろいろと期間的な制約があり、すべての材料をもっていくことができないので、主だった構造材や板材、古建具などを中心に引き取らせていただきました。これらを使って、構造材の配置もできるだけ以前の建物にあわせて瓦屋根、厨子(つし)二階の町屋を大阪で新築することになっています。
全面移築だけが、古民家の材の再利用でない
古民家の移築というと、すべての材料をもっていって、、、、、、というイメージですが、そうではありません。もともとの材料をすべてひきとったとしても、積年の傷みなどで思ったより、再利用の歩留まりが悪かったりするときもあります。
今からおよそ10年前に、この写真の古民家を南河内から丹波まで移築しました。
写真は解体が済んで、移築先で構造材を組み立てたところの写真です。黒い柱や梁が再利用した部材です。小屋梁などは新材が使われています。
床板より下の部分もほぼ新材です。柱なども多くは根接ぎと言われる腐ったり蟻害にあった部分を補修しています。
組み上げる前に寝継いだ柱たち。運送費や保管場所代などを考えると新築よりかなりコストが高くなります。もってきたものの使えない部分はすべて産業廃棄物として処分しなければいけません。
このようなコストや解体現場や建築現場などの諸条件を考えたときに、全面移築でなく、材料を選抜して生かし取って再生する都いう方法もあります。
今回の京都での解体工事でサルベージした古材は大阪で新築につかうにあたって、大黒柱、小国柱や丸太梁、差鴨居など古民家らしい大きな材料を中心に生け捕りしました。
内装だけ移築?という方法も
移築という定義には、正確にあてはまらないかもしれませんが、内装だけ移築という方法もあります。実際に2016年に京都の昭和初期の建物の内装をすべてはずして、奈良にもっていって新築したことがあります。
上の写真は京都時代の階段あたりの写真です。
こちらは奈良で新築したときの写真。移築というと構造材再利用のニュアンスが非常に強いのですが、どこかの家一軒の古材を専ら再利用して、同じ建物をたてるということであれば、これも十分移築といえるのではないでしょうか
古材再利用の移築
古材をとるときは、このように「入要」などの札を貼って、誤って解体、廃棄しない様に気をつけます。
昨日は、誇りをおとすために高圧洗浄機で洗いながら、材の傷みなどのチェックを行いました。
6月にはいると基礎工事が大阪市内ではじまります。またご報告いたします。