造作キッチンか、システムキッチンか。メリットとデメリットを考えてみました
輝建設の小原です。
写真のようなおしゃれだけど自分が使いやすいようにオーダーしたキッチンって、注文住宅だと実現したいですよね。(写真は豊中市の家)
一般的に注文住宅でキッチンっていうと、テレビCMをやっているようなシステムキッチンメーカーさんのものをカタログやショールームで選んでつくってもらうのがほとんどでしょう。
でも、こだわって家を建てたりリノベーションするのに工務店を選んだのだから、キッチンも大手キッチンメーカー製のシステムキッチンでなく、細部までこだわって家のように一品制作でつくりたいという方がけっこういらっしゃいます。
この一品制作で工務店につくらせるキッチンのことを、造作キッチンといいます。
実は一品制作のキッチンは、造作キッチンの他にもオーダーメイドキッチン専門の業者さんもいます(このブログではオーダーメイドキッチン専門業者がつくるキッチンをオーダーメイドキッチンとします)。
造作キッチン、オーダーメイドキッチンだと自分の思い通りに収納などの組みわせも可能
造作キッチンとシステムキッチンのメリット・デメリット
では、造作キッチンとシステムキッチンの違い、それにオーダーメイドキッチンを加えて、メリットとデメリットで比べてみるとわかりやすいので抜き出してみました。
造作キッチン
- 建材の選択、高さや幅、引き出しなどが自由に作れる。
- デザインや使い勝手は設計する人、作業精度は職人の腕に左右される。
- 値段は比較的高くなりがち。
- 納期に時間が掛かる
- 施工に時間が掛かる
- ショールームなどがないことが多いので、実物を見られないこともある
システムキッチン
- セミオーダータイプがほとんど。
- 決められた部材やボックスなどの組み合わせでキッチンを構成していく。
- 完全なオーダー品ではないので、細かいところで思い通りにならないこともある。
- 品質は安定している。
- 値段は安価なものから高価なものまでいろいろ。
- 納期が早い。
- 施工も早い。
オーダーメイドキッチン
- 建材の選択、高さや幅、引き出しなどが自由に作れる。
- 品質は安定している。
- 値段は高くなりがち。
- 納期に時間が掛かる。
- 施工に時間が掛かる。
- ショールームあるところが多いの実物が見られる
注文住宅ではこの3種類から選ぶことになるのですが、予算をあまりかけたくないという方であれば、システムキッチンメーカーのコストパフォーマンスの高いブランドがいいかと思います。
写真はクリナップ・ラクエラの施工例(大阪府泉南郡岬町の古民家再生)
メーカー製キッチンのメラミン合板のつるっとした扉などの面材が木になる場合は写真のように、炊飯器などを置く杉板のカウンターなどで目隠しという方法もあります。リビングに面したI型のキッチンだとリビングからの手元隠しになります。
システムキッチンでも、あれこれ扉やワークトップといわれる天板などのグレードを上げていくと値段が高くなるので要注意です。20年〜30年は使うものですから、扉などの面材も派手な色でなく、飽きのこない地味な色をおすすめします。
新築やリノベなら白系統、古民家なら黒・茶系統がいいかと思います。木目などの立体プリントなどしたものもありますが、無垢フローリングや古民家などの柱や梁がある場合は、プリント感が際立つのでやめておいたほうがいいです。
フル装備の造作キッチン。低い吊棚が使いやすい。水切り棚にもなっているので濡れた茶碗なども置ける
システムキッチンよりも予算がかかってもいいから毎日、何十年も使うものだからこだわりたいという場合は、造作キッチンまたはオーダーメイドキッチンを頼むことになります。
値段も大事ですが、これから何十年もキッチンに向かうのが楽しめると思えるキッチンかどうかというのは、料理や後片付けのの動機付けとしては一番大事だったりするなという気がします。
自宅の造作キッチン。ごとくがコンロ全面を覆って使い勝手が非常によい
私も20歳で実家を離れて一人暮らしをはじめてから、これまでに実家住まいをいれて13軒の家に住みました。もともと料理好きなので、13通りのキッチンで料理をしてご飯をたべてきましたが、いろいろこだわりがある自宅の自社造作キッチンでの料理や家事はたのしいです(自宅のキッチンの話はまたそのうちに)。
造作キッチンか、オーダーメイドキッチンか
造作キッチンの現場(石切の家3)
さて、多少お金がかかってもこだわりたいという場合、ふたつの選択肢が残ります。
造作キッチンとオーダーメイドキッチン、どちらかを選ばなければいけません。
造作キッチンの場合、工事を依頼している工務店が造作キッチンをつくれるのかどうかがポイントです。
工務店も2極化していて、多少手間のかかる仕事でもお客さんのこだわりを実現させることに会社の価値を置いているところと、できるだけ早く安くしあげることでお客さんに喜んでもらおうと考えている会社さんに分かれてきています。後者の場合、造作キッチンは日々の仕事のなかでイレギュラーなので工事を受けてくれないと思いますし、受けられたとしても経験がないのでいいものになりにくいと思います。
新築やリノベなどの仕事を頼む工務店が造作家具を普段からつくっているのであれば、造作キッチンはおすすめです。特に造作キッチンは、器具のレイアウトや高さなどもご希望に添えますし、オーダーメイドキッチンほど高価な部材を使わないことで一品制作にしては価格を抑えることも可能です。
残念ながら、つくる家はとても気に入ってるんだけど、造作キッチンつくったことないという工務店だったら、オーダーメイドキッチンメーカーに頼むしかないと思います。もしくはシステムキッチンのハイグレードのもので細かくセミオーダーできるものをさがされてみてはいかがでしょうか。
工務店のつくる造作キッチンは、大工や木工所などベースとなる箱をつくります。故に直線的で華美な装飾のないシンプルなデザインが多いのも特徴の一つだと思います。その箱に、カウンターメーカーにオーダーでつくらせてのせるというのが造作キッチンの基本構成です。
設備やガスコンロ・IHヒーターなども家をつくるときの協力業者さんの作業なので工事の段取りができるというわけです。
オーダーメイドキッチンは専業ならではこだわりやディティールがあります。大工や木工所では扱いにくい材料や、システムキッチンメーカーのような加工もできます。各メーカーで得意な仕上げや設備機器などがありますが、ヨーロッパの最新のキッチン設備を導入してだとか、アンティークな家具調にするといったような、細かなオーダーに対応してくれます。ただし、その分費用は高止まりになりがちです。
まとめ
- コストをかけないのなら、キッチンメーカーのものを選ぶ
- こだわりたいのなら、造作キッチン、またはオーダーメイドキッチンになる
- こだわりポイントが機能性でシンプルデザインであれば、造作キッチンを検討
- 見た目のデザインや面材など仕上げ材にもこだわりたいのであれば、オーダーメイドキッチンから検討を始める