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ガルバリウム鋼板とは? ガルバの鋼板屋根のメリットとデメリット。メーカーと葺き方もまとめました

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輝建設のコハラです。

 

家づくりを考え出して屋根の話になったときに、よくガルバリウム鋼板(こうはん)という言葉をよく聞きませんか? 「ガルバは、瓦より軽いから地震に強いんです」とか「ガルバは長持ちする材料ですよ」などハウスメーカーや工務店の営業さんからそういわれて、初めてこの建材を知る方も多いと思い、こちらのブログをエントリーしました。

 

ガルバリウム鋼板は外壁や屋根に使われる建材の一種で、金属でできた軽くて薄い材料です。耐久性や耐震性、加工性に優れていて見た目もすっきりとかっこいいことから、一軒家や工場などでよく使われています。

写真は2019年の当社事務所の敷地です。真ん中の建物は、1955年(昭和35年)に建てられたプレファブ住宅でトタン屋根でした。2012年にガルバリウム鋼板の立平葺きの屋根に葺き替えました。

 

左の建物の緑の部分の屋根もガルバリウム鋼板屋根です。1925年(大正14年)の建物ですが、2014年春の強風で銅板屋根が飛んでいき、ガルバ一文字葺きで葺き替えました。

 

右の錆びた板金屋根は昭和30年代(1950年代)に葺かれたトタン屋根です。2000年代に塗装されたのが最後です(2019年にガルバリウム鋼板に葺き直す予定です)。

 

すべてガルバリウム鋼板で直しているのは、やはりコストパフォーマンスの高い建材だからです。新築工事や屋根を葺き直す場合には、絶対、検討しなければいけない建材、それがガルバリウム鋼板です。

 

本ブログが、家づくりやリフォームを考えていらっしゃる方の屋根について有益な情報になれば幸いです。

 

 

 

ガルバリウム鋼板(通称:ガルバ)とは

ガルバリウム鋼板の正式名称は「55%アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板」といい、簡単に言うと「アルミニウムと亜鉛のメッキで塗装された鋼の板」です。ちなみにアルミニウムの元素記号は「Al」、亜鉛は「Zn」になります。

 

メッキとは金属の膜のことで、電気や熱を加えることによりメッキ層ができて鋼の板が保護されます。メッキ層が鉄をカバーすることで高い耐久性を実現しているのです。屋根材や外装材を調べていて、「GL」と表記されているものはガルバリウム鋼板を指します。

 


引用:JFE鋼板株式会社
http://www.jfe-kouhan.co.jp/products/steel_sheet/galva.html

 

ガルバリウム鋼板の色と厚み

ガルバリウム鋼板にはさまざまな色があります。この色はメッキ層を保護するペンキの色です(写真はJFE鋼板さんの極みMAXというガルバリウム鋼板のカタログです→JFE鋼板さんの住宅屋根ページ)。

 

白や黒、グレーなどのベーシックな色から、イエローやネイビー、グリーンなどの鮮やかな色まで実現可能です。ブラックやダークグレーなどの落ち着いた色だと重厚感や高級感、引き締まった印象を与えます。ガルバリウム鋼板でよく選ばれるシルバーは、現代的でスタイリッシュな印象を与え、金属系サイディングの光沢を上手に活用したカラーリングと言えます。ホワイトやシルバーなどの明るい色は光を反射するので夏の暑い日でもより快適に過ごすことができます。

 

また、ガルバリウム鋼板の厚さは一般的に0.25~1.6mm厚まであります。色だけでなく、厚さのレパートリーも多いのが特徴です。最もよく使われるのは厚さ0.35mmです。そんなに薄くて大丈夫?と思われるかも知れませんが、ガルバリウム鋼板は丈夫なので十分な強度を確保してくれます。

 

 

ガルバリウム鋼板のメリット

住宅や工場など街中でよく見かけるガルバリウム鋼板ですが、改めてメリットとデメリットをまとめてみました。

高い耐食性(錆びにくい)

ガルバリウム鋼板はアルミニウムと亜鉛のメッキ層を含んでいます。これがガルバリウム鋼板が薄くても耐久性が高い理由です。

 

亜鉛には「犠牲防食作用」、アルミニウムには「不動態皮膜作用」と呼ばれる効果があります。

 

鉄(鋼板)が自分よりも錆びやすい亜鉛に覆われると、亜鉛が先に錆びて溶け出し鉄(鋼板)を覆ってくれます。すると、鉄(鋼板)は錆びづらくなります。これが亜鉛の「犠牲防食作用」です。

 

アルミニウムの「不動態皮膜作用」とは、アルミニウム表面が空気に触れるときに発生する酸化物の皮膜(不動態皮膜)によって鉄(鋼板)を錆から守るということです。

 

しかし、いくらガルバリウム鋼板が腐食に強いからと言って錆びないというわけではありません! 後で述べるメンテナンスを怠ったり、条件の悪い環境下にあると錆びます。金属系サイディングである以上、絶対に錆びないということはありません。

 

耐震性に高く寄与します

ガルバリウム鋼板の重さは日本瓦の約1/10で、非常に軽いです。屋根材が軽いと建物の重心が下がり、地震の揺れに対して強くなります。地震の多い日本において、このメリットは大きいです。

 

瓦の重さについては、こちらのブログの記事に書いています→「屋根瓦の種類とメリットとデメリット。気になる瓦屋根の修理や葺き替えの値段もお伝えします」

デザイン性が高い

屋根材にガルバリウム鋼板を用いた場合、軽やかで現代的な印象を与えます。屋根が薄いために瓦屋根よりもスッキリとして見えるのも特徴です。また、前述の通り多様なカラーバリエーションがあるため、デザインの幅が広い材料です。暗色系の色が出せない屋根材や外壁材があるなかで、高い着色性を誇っています。

 

優れた熱反射率

ガルバリウム鋼板は、熱反射率が高く熱吸収率が低いので夏の暑い日でも室内の温度上昇を防ぎます。太陽からの熱を屋根の表面で反射して、建物内部に入れ込まないことで猛暑日も涼しく快適に過ごせるということです。

 

加工のしやすさ

ガルバリウム 鋼板のメッキ層は柔らかく改良されているため、一般にハンカチーフ折りと言われる高度な曲げにも十分に耐えることができます。この柔らかいメッキ層によって、加工部の耐食性が飛躍的にアップしました。

 

 

ガルバリウム鋼板のデメリット

施工費が高い

ガルバリウム鋼板は、施工費がほかの外装材と比較して若干高めです。なぜなら、ガルバリウム鋼板を含む板金加工は専門知識や経験を持った板金工事事業者しかできない上に、近年、業者さんの数は減っているからです。

 

また、ガルバリウム鋼板は扱いに注意が必要な建材です。他の金属と接触すると電位差で錆びてしまったり、湿気を全く通さないので湿気を逃がす通気工法などの工夫が必要です。そういった施工時の必要から、施工費が高くなってしまいます。

 

昔は板金屋根は雨音がよく響いてしまうと言われていましたが、現在は遮音性を上げるための工夫があります。遮音性を高めるには、最初からそういった性能が付加されたガルバリウム鋼板製品を選ぶか、遮音のための追加工事をする必要がありますので、工事費は比較的高くついてしまいます。

 

 

メンテナンス費用が高い

ガルバリウム鋼板の耐候性がたかく、ガルバ以前によく使われた「トタン」と呼ばれる「溶融亜鉛メッキ鋼板」や、カラーベストと言われるような安価なセメント瓦などに比べるとメンテナンスが必要になるサイクルが長いのは間違いありません。

 

そこで、営業マンや工務店からガルバはメンテナンスフリーだと話をされたということをお客さんから聞いたことが度々あります。

 

しかし、実際にはガルバリウム鋼板も時間が経てば錆が回りだします。そのようなことにならないように定期的な点検やメンテナンスを行わければいけません。

 

ガルバリウム鋼板は錆にくいのは、メッキの性能がたかいためですが、そのために塗装がのりにくいというデメリットにもつながっています。また比較的新しい建材のため、ガルバリウム鋼板の塗装工事を行った経験のある塗装業者さんが少ないため、業者選定の際にはそのあたりを判断基準にされても良いかもしれません。

 

 

潮風で錆びる

錆びづらいガルバリウム鋼板ではありますが、潮風の吹く海部の地域には適していません。潮風に当たると、白錆びが発生する恐れがあります。塩害被害が見込まれる地域の方は、ガルバリウム鋼板よりも塩害に強い屋根材(ステンレスなど)をおすすめします。

 

最近では強い台風のため、海沿いの地域でなくても陸地の奥まで潮風が持たされることがあります。そんな時は、屋根に限らずガルバリウム鋼板を使用している箇所はホースなどで水をかけて塩気をながしてやる方法がおすすめです。

 

 

ガルバリルウム鋼板屋根の葺き方(施工方法)

ガルバリウム鋼板の屋根には、以下の種類があります。

 

縦葺き(立平葺き、縦ハゼ葺き、瓦棒葺き)

縦葺きには立平葺きと、縦ハゼ葺き、瓦棒葺きの3種類があります(写真も左から立平葺き、縦ハゼ葺き、瓦棒葺き)。

 

 

縦葺きはがどのような屋根形状かと言うと、屋根の板金材のつなぎ目が屋根の棟(一番高いところ)から垂直に軒先(一番低いところ)に向かっていくような形です。

 

縦葺きは低勾配の屋根から急勾配の屋根にまで使われるという特徴があります。屋根勾配が緩いと水捌けが悪く雨漏りが起こりやすくなりますが、そのような建築の屋根にもうってつけです。

 

立平葺き(縦葺きの一種)

立平葺きは、あらかじめ屋根の大きさに合わせて屋根材を板金工場で加工してから建築現場に持っていきます。雨漏りしにくいように大きな部材(長尺物)を屋根の大きさに加工された板金を張っていきます。ドーム屋根も実現可能なため、大型施設の屋根にも用いられる葺き方です。

 

しかし、大きな板金を持っていくために狭い工事現場や搬入のための道路が狭い場合には適していません。

 

嵌合式(かんごうしき)といわれるスナップのように、パチっとはめ込むしきのため、施工がスムーズに進みます。比較的早く工事が終わるという点も特徴です。その分工事費も安く済みます。

 

また、板金工事に不具合などがあったときも嵌合式であれば簡単に取り外すこともメリットだと思います。

 

縦ハゼ葺き(縦葺きの一種)

 

板金工事でで金属板をつなぐときの継ぎ目のことをハゼといいます。そのハゼを立てて、継ぎ目から、雨水が侵入しないようにしているので縦ハゼといいます。立て平葺きよりもよりシンプルな見た目なので、デザイン性を追求する建築の場合に採用されやすいです。

 

現場にて機械を使ってハゼ加工していくので手間代が立て平葺きより高くなります。

 

現場加工のため、雨漏りや台風被害など不測の事態が起きて、メンテナンスの他にめくるためにはハゼをつぶさないといけないのが考えられるデメリットです。

 

瓦棒葺き(縦葺きの一種)

瓦棒葺きは主にトタン屋根に用いられた葺き方です。昔の縦葺きはこの瓦棒葺きでした。瓦棒とは屋根の傾斜に沿って等間隔に並べられた木材のことです。

 

トタン屋根は雨漏りがしやすいことや錆びやすいことによってその点を克服したガルバリウム鋼板屋根にとって代わられているのが現状です。写真の瓦棒葺きのトタン屋根は、右側は塗装工事のメンテナンスがされていないので錆びています。

 

トタン瓦棒葺き屋根からガルバリウム鋼板瓦棒葺き屋根に葺き替えることもあります。しかし、瓦棒葺きには板金職人の高い技術が必要になり、それよりも現場での作業量が少ないガルバリウム鋼板立平葺きが人気です。

 

横葺き(横葺き、一文字葺き)

 

横葺きは先ほどの縦葺きの反対で、屋根の棟(一番高いところ)と同じ水平方向に向かって屋根材が走っていきます。縦はぜ葺きとは違い緩い屋根勾配の屋根には使えません。最低でも2.5寸以上の屋根勾配が必要です。

 

しかし、縦葺きではできない複雑な屋根形状にも対応できるという特徴があります。

 

長さ180cm~360cmぐらいの長さの板金を水平方向に張るものを横葺きということが多いです。縦葺きに比べて施工手間がかかり、コストアップとなりますが、水平ラインが強調された落ち着いた雰囲気になります。

 

日本国内では和風の建物に採用されることが多い板金屋根だと言えます。

 

 

一文字葺き

横葺きよりも短い板金で屋根を葺く場合、一文字葺きといいます。現場でのハゼ組み加工が多く必要な一文字葺きは、もともと柔ない銅板の施工がほとんどでした。

 

ガルバリウム鋼板やカラーステンレスのような硬い材質では、いくら0.4mmの厚みでも、きれいで安全な施工がむずかしくあまり施工がおこなわれていませんでしたが、近年、メーカーさんから加工された商品などが販売されています。

設計事務所さんの物件や、和風の建物などに採用されることが多い葺き方ですが、手間が非常にかかるため、コストアップします。

 

その他に段葺きといわれる葺き方もあります。段葺きの段の下地に断熱材を芯材とする施工方法もあります。

 

 

その他特殊な葺き方

縦葺き・横葺き以外の屋根の葺き方としては、「金属瓦」などがあります。「金属瓦」はガルバリウム鋼板が瓦の形をしており、日本瓦の弱点である耐震性をカバーしています。

引用:株式会社カナメ「カナメルーフ」
http://www.caname-roof.jp/products/metal/caname_roof/

 

ガルバリウム鋼板のメンテナンスは?

メンテナンスが楽と思われがちなガルバリウム鋼板ですが、実はそんなことはありません。ガルバリウム鋼板のメンテナンスには白錆び対策と赤錆び対策があります。

 

ます、白錆び対策としては1年に1〜2回、水で洗い流してガルバリウム鋼板に付着した汚れを取ってあげる必要があります。その際、ブラシでこすったり高圧洗浄する必要はありません。

 

赤錆び対策としては、業者による塗膜補修作業が必要です。ガルバリウム鋼板はメッキ層によって保護されているので、そのメッキ層が剥がれないようにするためです。

 

ガルバリウム鋼板のメーカー

ガルバリウム鋼板やガルバリウム鋼板をつかった屋根材メーカーはその色、防音性、断熱性などで商品の差別化を図っています。また、同じメーカーであっても、商品によって保証内容やメンテナンス方法、カラーリング展開が異なります。

 

なので、希望の価格帯、色は何色で模様はどのようなものが良いのか?メンテナンスの頻度や手間はどの程度が良いのか?などを考えてからメーカー選びを行うことをおすすめします。以下、いくつかのガルバリウム鋼板をつかった屋根材メーカーと商品の特徴を紹介したいと思います。

 

月星商事株式会社

月星商事は日鉄日新製鋼株式会社の販売を担っている会社で、大手の建設資材製品メーカーです。そのためガルバリウム鋼板を使った屋根材の種類も多く、屋根形状によって様々なシリーズを展開しています。

 

現在は馳折板・重ね折板・横葺屋根・縦葺屋根・改修用屋根・畜舎、堆肥舎用屋根など、幅広い用途に適応した屋根材を取り揃えています。

 

月星商事の屋根材(関東版)

月星商事の屋根材(関西版)

 

福泉工業株式会社

福泉工業も、ガルバリウム鋼板を使用した外壁材と屋根材を製造しているメーカーの一つです。

福泉工業の屋根材は表面にガルバリウム鋼板、その裏に断熱材の硬質ウレタンフォームが付いている物が多いです。

福泉工業の屋根材

 

 

 

アイジー工業株式会社

アイジー工業が製造する屋根材「スーパーガルテクト・フッ素」は、断熱材を内包しているガルバリウム鋼板屋根材です。ホームページでは、変褪色20年、赤錆20年、穴あき25年のそれぞれ保証を謳っています。

 

スーパーガルテクト・フッ素

 

 

ニチハ株式会社

ニチハの屋根材「横暖ルーフ」シリーズは全4種あり、「フッ素塗装高耐食GLめっき鋼板」か「ポリエステル塗装高耐食GLめっき鋼板」を使用しています。

 

同じシリーズではありますが、種類ごとに使用する断熱材などが違うため保証内容が異なります。本当に自分のニーズに合っている種類なのか?メンテナンス方法やカラーリング展開、保証内容をしっかりと確認してから選びましょう。

 

ニチハ株式会社 横暖ルーフ

 

ガルバリウム鋼板メーカー まとめ

ガルバリウム鋼板メーカーや、鋼板を加工している屋根部材メーカーさんはそのほかにまだまだあります。

 

雨漏りするしないはメーカーさんのガルバリウム鋼板では優劣はつけがたいですが、板金業者さんの施工スキルに依拠するのは間違いありません! 頼できる業者さん選びが屋根工事最大の注意点です!

 

まとめ ガルバリウム鋼板の屋根って結局どうなの?

では、結局のところガルバリウム鋼板の屋根はどうなのでしょうか?

 

ガルバリウム鋼板は、金属(板金)屋根の中でオールマイティに優れた性能を持っていると言えるでしょう。高い耐久性・耐震性で安心できるだけではなく、豊富なカラーバリエーションと加工のしやすさで多様なデザインに対応できます。

 

メンテナンスも他屋根材に比べると手間のかからない部類と言えますし、施工費も立平葺きのようにシンプルな葺き方だと抑えられます。また、各メーカーによってガルバリウム鋼板屋根材の特色は様々です。

 

  • 優れた耐候性=メンテナンスサイクルが長い耐震性向上
  • デザインしやすい高い加工性
  • 耐震性能向上に大きく寄与する軽さ

これらが、ガルバリウム鋼板の屋根の最大の強みと言えます。

 

あなたの屋根材として、ぜひ検討の価値ある材料だと思います。

 

このブログをご精読いただき、ありがとうございました!
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