平屋建て新築注文住宅のメリットとデメリット
輝建設のコハラです。
今日は、最近、人気の平屋についてお話しします。
平屋のご相談者さんに、「どうして平屋なんですか?」とお聞きしたら、ほとんどの方が「生活が楽そうだから」とか「便利に暮らせそうだから」とお返事されます。平屋のなにが楽だとか便利な生活をイメージさせるのでしょうか?
まずは平屋に限らないで、住まいにおける楽とか便利とは何なのかを解説します。
目次
楽な、便利な、生活のキモは「使い勝手のよい動線」
前述の「生活が楽そう」とか「便利そう」とかという漠然としたワードですが、もう少し具体的な言葉に置き換えると
「生活がしやすい」
になります。
「じゃあ、生活しやすいって何ですか」と質問したくなりますよね? 皆さんなら何てお答えされますか?
私の答えは
↓
↓
↓
答えは一択です!
使い勝手のいい家事動線!
家のような高価なものを、即物的な視点でとらえると怒られそうな気がしますが、住むため、生きていくための道具として考えると、使い勝手はすごく大事な要素です。著名な建築家さんに設計してもらって見た目が美しくても、先祖代々何百年も住んでても、超ローコストでお金をかけずにたてても、使い勝手が悪ければ日々の家事中、イライラしっぱなしです。
では、家の使い勝手というのはなにか?
使い勝手がいい=家事の作業効率が高いかどうかです。例えば、洗濯という家事は、洗濯機の進化に伴い、それに関わる時間は圧倒的に短縮されています。1990年代まではちらほら見かけていた2層式の洗濯機も、いまやほぼ全自動洗濯機になり、脱水槽に移す手間が必要ありません。さらに、乾燥機付きのものの割合が増えています。
このように、機械の進化に合わせて家事を代行してもらうことで家事効率があがっていっています。大きな機会といっても家の中に入らない大きさではないので、新しい革命的な機械が開発されてもそれを導入することはそう難しいことではありません。
しかし、家事動線となると、家を新築するとき、または家をリノベーションのような大規模改修するときでないと改善のしようがありません。いくら作業効率のたかい器具を導入しても家事動線でわるければ、イライラは解消しきれません。
ワタシの考える家の使い勝手を決める最大要件には「家のなかでいろいろすること(=家事)、それを効率よく行えるようにつなげているかどうか」に尽きます。
使い勝手のいい動線=移動距離が短い
では、動線のなかで使い勝手のよいものというはどういうものなのか?
使い勝手のよい家事動線にかかせないのは移動距離を短くすることです。動線が短いとそれだけ家事にかかる時間が単純に減ります。屁理屈っぽいですが、下の説明をみてください。
話をわかりやすくするために、極端な例をあげてみます。
洗濯ものを干すという家事の移動時間を考えてみました。延床30坪程度の2階建ての家を想定。1階の奥まった位置にある脱衣場の洗濯機から、2階の物干しまでの距離が20mとした場合、1日あたりと1年あたりの移動にかかる時間を考えてみました。
人がゆっくり歩くスピード=時速3.6km=秒速1m。
20m先の物干し場まで10秒。往復で20秒、
1日2回、物干し場に行く=20秒*2回=40秒。
1年365日をかけると 40秒*365日=14600秒=4時間3分20秒。
物干し場にいくだけで年間に4時間近くかけています。
洗濯動線が平屋だとこうなる!
先程の物干し動線を分解してみましょう。下のようなイメージをされたかもしれませんが
シンプルで、当たり前な感じがします。あなたの家は下のようなことになっていませんか?
近年、「家の外の洗濯室」なんかはあまりみかけなくなりましたが、「廊下」や「和室」が入っていたりすることはよくあることです。新築や大規模改修することの大きなメリットのひとつは「家事動線の整理」ができることです。物の入れ替えなどの局所工事のリフォームではなし得ません。
この家事動線を整理する、大規模改修をおこなったとします。1階の階段横に脱衣場、2階の階段上りきったすぐに物干し場を設けたとします。
最初に上げたシンプルな動線に階段が組み込まれたものになります。だいぶスッキリして廊下、和室がなくなったのでだいたい5m短縮されたとして5秒ほど削減されました。年間で5秒=1825秒=30分25秒です。 ちなみにこのあと、この家に30年住むと仮定すれば、15時間強ほど削減されました。
まあ、ここまでは屁理屈っぽい話ですみません。しかい、洗濯だけでなく、洗濯物を取り込んだ先の収納であるクローゼットや、下着類を収納しておくのが脱衣婆であったりするとまたまた動線が伸びていきます。家の中の移動時間、結構馬鹿になりません。
平屋の家事動線って便利なの?楽なの?
さて、最初の質問「どうして平屋なんですか?」に対する相談者の答え「楽そう」「便利そう」ですが、その答え、合っています!
平屋の家事動線の最大のメリットは2階がないことです。平屋の間取り計画には階段がないので家事動線の計画をたてるときに大きなアドバンテージになります。2階への階段の上り下りには、健康な人でもだいたい4〜5秒程度はかかります。
さっきの洗濯物のシンプル動線にもどって考えると、下記のような変化が。
毎日のことですので、動線が短縮されれば、家事にかける時間も減っていきます。
階段のない家=老後が楽な平屋の間取り
階段がないことのメリットは、動線を短くしやすいだけでなく、階段の登り下りがないため、年を経て身体能力が衰えても平面移動だけで生活ができます。 また転落の危険性が減ることで、宅内での不慮の事故が起きる可能性がへります。ダイヤモンド・オンラインさんの記事によると、2016年には階段などからの転落での死亡事故が695件あったそうです。
(引用元「年間5788人が転倒死、実は交通事故より多い「事故死」の意外」ダイヤモンド・オンライン 2018.1.16)
人口が減っていく局面にある我が国では、老老介護と言われる問題がより深刻になるはずです。核家族化どころか、高齢のご夫婦のみでの生活が現実になることも踏まえて、できるだけ家族だけで生活できる家づくりというものも考えてみましょう。
さらに進めば、高齢での独居という場合もあります。 創業30年近くなる当社でも、高齢になられたご夫婦のお一方がお亡くなりになってからどのように生活を整えるかということで、同居されていないお子さんたちからいろいろなご要望があったなかで、バリアフリーにまでいたらないまでにしてもいろいろ怪我をしにくいようなアイテムの取り付けや、安全に暮らしているかどうかを確認しやすいような装置の取り付けの依頼をうけています。
平屋は温熱環境を整えやすい
温熱環境なども2階建ての建物より整えやすさが有利な場合が多いです。
2階建ての場合、階段がかならずありますから、冬場は階段が煙突のような働きをしますので熱気を逃してしまいがちです。
例えば、階段がリビングなどにある場合は、リビングをいくら温めてもどんどん階段から熱気がにげてしまいます(これは建具を設けるなどで熱気が逃げるのを軽減させることはできます)。
また、廊下などに階段がある場合は、冬場は廊下を温めるような設備があるうちは稀ですから、廊下は寒い上にわずかばかりの暖気も2階に押し上げられます。押し上げるとと同時に2階廊下の冷気が1階に降りてきてしまいます(コールドドラフトと呼ばれる減少です)。
というようなことがないようなことを考えて、高気密高断熱をきちんと施工して、温度のバリアフリーを目指すことで快適になりますが、そんな住宅でも微気候(ミクロクライメット)と呼ばれるものが存在しています。 家のなかだけでも上昇気流やコールドドラフトが発生します。
階段をつくらなくていい
階段をつくらなくていいので、階段を作る1坪分の面積がなにか他の用途に使用することができます。もちろん、階段を作らないので、その分家をちいさくするという洗濯も可能です。階段はだいたい1坪程度の面積を必要とします。
階段を作らないということは、あなたが計画している建物の一坪程度の面積を削減することができます。坪100万円の家であれば、100万円。坪70万円であれば、70万円削減できるというわけです。
平屋のまどりは構造的にあれこれ考える箇所がへる
特に都市部では決められた敷地の中で、ご希望の床面積を求めると、2階建て、時には3階建ての住宅になっていきます。平屋だからといって構造のことを検討しなくていいわけではありませんが、1階部分の重量の負担が少なくなることは、通常以外だけでなく地震時にも有利です。
2階と1階の間取りの整合姓を考えながら間取りを成立させなければいけません。上手い下手があるのも事実です。
注文住宅での新築をかんがえていらっしゃるのなら。建売住宅や賃貸住宅のような最大公約数的な間取り計画でなく、あなたにあった間取りを考えてもらいましょう! そのときに上手い下手と同時に、相性というものがあるのも事実です。
平屋は点検やメンテナンスが容易。メンテナンスコストが低くなる可能性も。
一戸建てのメンテナンス工事で高価なものといえば、外壁と屋根の塗装になります。特に屋根のメンテナンスは雨漏りなどに気づいたときには大きな金額になりがち。平屋の場合、容易に屋根にアクセスできるので、点検しやすくメンテナンスなども軽微で済ませられる可能性が高いです。
外部塗装工事の場合も、2F建ての建物に比べて、安全対策費用がすくなくできるポイントがあります。
例えば、板張り外壁とした場合、脚立や足場板などをつかってDIYで塗装していくことで劣化の進行を抑えて、塗装業者による大規模な塗装工事のサイクルを長期化させることも可能です。
軽微な外部のメンテナンスであれば。、足場なしで作業できる場合もあります。 特に軒を深く作ってもらうなどして、外壁をまもってやることでメンテナンスサイクルを長くすることで、年あたりのメンテナンスコストを下げることができると思います。
特に屋根、外壁などのメンテナンスコストは、社会の最前線でバリバリ働いている状況から引退したときに家計に響きます。軽微なメンテナンスで済む。業者に点検してもらいやすい形状にしておく、外壁が傷みにくいように屋根の軒を深く出しておくなどで、引退後の大規模なメンテナンスの回数を少なくできます。
60歳で定年と考えたとき、あと30年生きるとして、10年に一度の外壁塗装なのか、15年に一度なのかは大きく老後の生活設計が変わってきます。
また、昨今台風による屋根の被害が毎年、あちらこちらでありますが、平屋の場合、足場をかけずとも雨養生なども比較的しやすいです(こんなことない方がいいのですが)。
平屋のデメリット。平屋は広い土地が必要
平屋は、同じ延床面積なら2回建ての倍の建築面積が必要です。
30坪の述床面積の家を建てるとしましょう。建ぺい率とか容積率を考えずに、土地いっぱいに家を建てるという条件とします。平屋は、延床面積に対して、2階建てや3階建ての住宅よりも広い土地が必要になります。例えとして、敷地面積いっぱいに家を建てるとして、同じ床面積の場合、平屋を建てる場合と、2階建てを建てる場合にくらべて敷地は2倍いります。
- 平屋……30坪の土地(30坪*1フロア)
- 総2階……15坪の土地(15坪*2フロア)
特に土地を新たに買って平家を建てるとなると、2階建てよりも広い敷地が必要となります。大都市近辺で平屋を考えているのであれば、土地の坪単価をかなり意識した土地探しをしなければいけません。
新築にこだわらないのであれば、なかなか出物がありませんが中古住宅の平屋を探してリノベするという方法の検討してみてもいいかもしれません。
平屋は基礎と屋根の工事費が増える
先程の30坪の平屋と、総2階建ての話を思い出してください。
平屋30坪は基礎工事と屋根工事が2倍になり、工事面積が増えて、工事費が単純に増えます(壁の面積は減りません)。
最近はコンクリートや鉄などの基礎工事の資材費が値上がり傾向にあり、建築費としてみたときにイニシャルコストのアップにつながります。また、将来の屋根の補修工事ややりかえの場合、面積が2倍になっていますので修繕工事費や遣り替え費が2階建てよりもかかります。
平屋は日当たり注意
予算に余裕があって、平屋を選択した場合、大きな平屋になりがちです。しかし、よくよく気をつけて計画をしなければ家の真ん中あたりに日が入ってこない家になってしまいます。
大きな古民家を思い出してください。日本家屋の大きな特徴でもある一つ、出の大きい庇があり、部屋が幾重にもかさなっている古民家。真ん中あたりはほぼ日が差し込んできません。
しっかりと高気密高断熱の施工をしてもらっていないと、冬はさむーーーーい部屋になります。しっかりとしていても、何かしら暖房器具を運転しつづけていないと寒いです。
すべての部屋が太陽光である程度明るさの取れるように間取りを検討しましょう。冬の晴れた日の南側の掃出し窓付近は心地よい環境になるよう、ダイレクトゲイン得られるように考えてもらってください。
まとめ
いろいろと書きましたが、諸条件が許せば、平屋、、、、、おすすめします!
======
イベント案内
======
2/17(月)
無添加お茶漬けワークショップを
@石切ヴィレッジ
https://www.terukensetsu.jp/event/200217ochazuke
−−−−
2/22(土)23(日)
東大阪のルーフバルコニーある家 完成見学会
https://www.terukensetsu.jp/event/openhouse200222
−−−−
3/28(土)29(日)
大阪市の新築町家 完成見学会
https://www.terukensetsu.jp/event/openhouse200328
−−−−