動線を考えた間取り 家事楽動線とは?
動線の意味、基本の動線
動線ってなに?
動線とは、家などの建物のなかの移動経路を線であらわしたものです。まあ、実際には平面図などの上に線を書き込むことなどはほぼないので、その経路を動線と呼んだりしています。
住宅の打ち合わせでの動線といえば「家事動線」を指すことがほとんど! キング・オブ・動線は、家事動線です! 家の場所場所でできることが違うので、Aという場所でこれをして、Bという場所ではあれをするといったようなことを、効率よくできるようにすることが動線計画=家事動線の計画となります。
洗濯という家事を例に説明します。洗濯に関わる作業は、ザッと分けると下の5つぐらいになります。
- 服を脱ぐ
- 洗濯機に入れる
- 洗濯物を干す
- 洗濯物を畳む
- 畳んだ衣類を収納する
では、このふたつをつかって使いやすい動線と、使いにくい動線を考えてみましょう。
使いやすい動線=秒数計算してみよう!
コンパクトなお家のお風呂。お風呂横には、もちろん脱衣場があります。そこには洗濯機と乾燥機があって、外に干さずにすべて乾燥機で乾かすとします。(乾燥機ONLYがいいか悪いかは、ここでは置いといてください)。
この部屋で、上で上げた作業1の「服を脱ぐ」から作業3の「洗濯物を干す」までできます。で、その脱衣場の横に少々大きめのアイロンなんかもできちゃうような机のあるウォークインクローゼットがあれば、「洗濯物をたたんで収納」(作業4と5)ができて洗濯作業終了です!
洗濯に関わる移動距離、すなわち動線はすごく短いですよね。移動時間は10秒ぐらいですか。年間で移動に費やす時間は3650秒=1時間50秒です。
使いにくい動線 も秒数計算!
では、反対に今度は使いにくい動線を例えをあげて説明してみましょう。
すごく大きなお家で、お風呂が離れのような建物にあるとします。脱衣場で脱いだ服(作業1)は、勝手口を出たところにある洗濯機まで持っていく(作業2)必要があります。
作業2の洗濯終了後、洗濯物干し(作業3)は日当たりのいい母屋の2階のベランダ。洗濯物を取り込んで畳む(作業4)のは、調理の合間にということでリビングに一旦持ち込んで、畳んだ後に、下着は脱衣場に、洋服は各室のクローゼットにしまう(作業5)。。。。
おー、移動距離が長いー!! 良くない動線です、、、、、よね! 移動に費やす時間が1日10分として、1カ月で310分、1年で3650分。選択に費やす移動が年間にな、なんと60時間です。 やんごとなきことかな。。。。。(泣)
という具合な時間で示すと、屁理屈言わないでくださいと怒られそうですが、まあいい動線と悪い動線の時間という視点からの比較です。
動線計画を考える=間取り計画を考える
動線を考えることを動線計画といいます。
上記した家事動線のように、特定のことをする場所場所を効率よく回れたり(家事動線の場合はこの視点が一番大事ですが)、動線という家の中の移動経路上で、都合の悪いことがおきることがないように配慮した動線計画を考えないといけません。
では、都合が悪い動線とはどういうものか、ひとつふたつご紹介したいと思います。
都合の悪い動線 その1 裸の動線
「裸の動線」、、、家の中を裸でうろうろするための動線ではありません。裸族の方であれば、裸でうろうろしても外から見えないような動線を、、、、というようなものになるのかもですが、それって、、あ、いや閑話休題。ここでいう裸の動線とは、
「お風呂にはいったあとに玄関前を通らない動線計画にする」
ということです。お風呂から上がって、全裸やパンツ一丁とは言いませんが、タンクトップや短パンのような格好で玄関近くを通らないような動線計画にするということです。
風呂上がりのスッポンポンに近い着衣状態で、家族以外の人がいる可能性のある場所を通らないといけないような動線=移動経路は良くないよ!ということです。応接間やリビング、特に玄関ホールをまたがないといけないようなものは最悪なパターンです!
男性はあまり気にならないかもしれませんが。女性は化粧をとっていたり、Tシャツなど薄着だけで他人様の前をうろうろしたくないでしょう。そんなシチュエーションなんてほぼないでー!という方も多いでしょうが、ちょっと知恵を使えばそういうシチュエーションをゼロにできるわけです。新築やフルリノベーションのプランニングの場合。
古いお家の場合、外風呂を増築などでつけた関係で玄関前を通る裸の動線のあるおうちをよく見かけます。が、古民家だけでなく、今の新築などでも間取りが乗っている新聞の折込チラシなどみていると玄関ホールに脱衣場の入り口があるような家って結構多く見かけます。
まあ、住む方がそれでもいいのならいいのですが、家建つ前の机上の一工夫でこの裸動線問題は解決できるのになーと私なんかは思うわけです。
うんこの動線
裸の動線から派生して、うんこの動線と命名してみましたが、トイレという排泄行為をする場所も家の中には必ず必要です。このうんこの導線もできたら、ひっそりとした場所に誘いたいところです。
これも最悪な動線1は、玄関などよく知らない人がいがちな場所の横にトイレの入口があるパターンが挙げられます。宅急便や近所の方などと玄関で家族が応対しているときに、催してしまったりするとトイレ行きにくいですよね。特に大きい方とかだと、この人大きいのしているのかしらとか思われたりしないかとか考えて落ち着いて用も足せません。
他にはリビングのソファにすわったところから、トイレの入口→便器が丸見えとかもあります。そんなアホなとおもれるかもしれませんが、できあがってみたらあ~れ~!!!みたいなことありますのでご注意ください。
トイレは、廊下でも一歩奥に入ったところや居室からまっすぐ見えないところにおきたいものです。
テレビ前の動線
いまでこそ、スマホにその地位を奪われそうですが、昭和の高度成長期からテレビは家の中の娯楽の王様です。テレビの前に集まって、ご飯をたべたり、お茶やお酒をのんだり団欒することも多いでしょう。
そのテレビの前に動線がくれば、テレビを見ているときになんども人が通ることになります。なのでテレビ前を人が横切らないような動線計画をしっかり考えないといけません。リビングは階段、玄関、キッチン、脱衣場などに面していることが多いので、プランニング段階のちょっとした気遣いが必要です。
家事楽動線を確保するテクニック
家を建てる敷地や周辺環境、法規的な条件、自動車の有無などで建物の大きさや形などをザクっと定めたあと(リノベの場合は、今ある建物の構造を把握して)、動線計画を考えるとき、移動する場所から移動先の位置関係に動線は左右されます。つまり、動線計画とは、言い換えると間取り計画の一部でもあるんです!
どんな暮らしをしたいのか。家事の場合はなにが便利で何が不便なのかをいろいろと依頼をする人に事細かに伝えましょう。例えば、上であげた洗濯動線ですが、洗濯機のある場所からどんなに遠くても毎日、敷地で一番日当たりのいい場所に干したいの! とご要望の方もいらっしゃるでしょう(まあ、その場合はお風呂の場所を考えるとかするのが設計者さんかなーと思いますが)。
あなたの生活の仕方はあなたが一番よく知っています。住宅のプランニングにかかわる人たちは、あなたの暮らし方や要望をヒアリングしたうえで、これまでの数多くの人の生活を見てきて行ってきたプランニング経験から、暮らしやすい間取りと動線を紡ぎだしてくれますが、最終的にゴーサインだすのはあなたです!
おまけ
個人住宅の動線の相談というかリクエストで家事動線を除くともっとも多いものは下記と思います(個人的な感想ですが)!
「子供が帰宅してから親と顔を会わさないと子供室にいけないようにしてください」
動線? 導線? どっちが正しい?
さて、このブログを書くにあたって調べたことがもう一つ。
今回のブログ記事の内容のような家の中の動きのことを指す「ドウセン」を感じで表記するとき、動線なのか 導線なのか。
正解は、、、、、、、
「動線」でした。
もうひとつの導線は、もともと電線を指す言葉であったらしいです。ただし、百貨店業界では、お客さんを導く線ということで「導線」がつかわれているそうです。
まあ、豆知識程度に覚えておいてください。一生涯、役立たない豆知識かもしれませんが。。。。
【古民家再生ラジオ】
https://radiotalk.jp/program/64891