高気密住宅には気密測定試験が必要な理由とC値の説明
家の隙間って? 気密性の高い住宅を目指すわけ
今日は、藤井寺で新築工事中の現場で気密測定を行いました。家の隙間を調べる気密測定を行いました。
家の隙間って?
各材料の取りあいなどに生じる隙間のことです。たとえば、柱とフローリングの隙間だとか換気扇のパイプと壁の面材との隙間。それぞれがわずか0.5mmの幅でした隙間がなかったとしても、家全体となればなんにも注意を払っていなければコピー用紙ぐらいの面積になってしまいます。
隙間があることで、暖房器具で家を温めても天井の隙間から暖気が逃げつつ床の隙間から冷たい空気をひっぱってきます。夏に冷房しても外部の蒸し暑い空気がはいってきてエアコン効率を妨げます。そのほかにも、室内の計画換気ができなかったり、断熱材が本来の性能を発揮できなかったりといいことがないとされています。
なので隙間ができるだけ少ない家、高気密は、高断熱とともに快適な温熱環境に必要な要素です。
ちなみに家の隙間は「隙間相当面積(C値)」で表されます。
建物床面積1m2あたりmどれぐらい隙間面積があるか表す値で、数字が小さければ小さいほど気密性能が高いということになります。
ちなみに単位はcm2/m2になります。これは隙間面積(cm2)/床面積(m2)を意味し、床面積1m2あたりの隙間面積を表しています。
高気密の目安(工務店、ハウスメーカー問わず)
現在、国で気密の基準を定めていませんので、高気密高断熱をうたう会社がどのような値で高気密といっているのかは定かではありません。
「新木造住宅技術研究協議会(新住協)」では、C値=1.0cm2/m2がひとつの目安となっています。C値=1.0未満でようやく計画換気ができるといわれています。
ところで、新住協は高気密高断熱で快適な暮らしをつくることを目標にしている団体です。顧問の鎌田先生(室蘭工大名誉教授)は高気密高断熱の施工技術を研究、住宅業界に広めてこられました。
気密測定試験のタイミング
気密測定を行うタイミングですが、家の最終的な気密性能は家の工事が完成した後に測定するのが本筋です。
しかし、今回のように工事途中にこの測定を行う理由は、隙間が意図するよりも大きかった場合、追加工事が行う必要があるからです。仕上工事も全て終了してしまった引き渡し直前などでは、隙間を表すC値が大きかった場合、壁や床などをめくってどこから隙間風がはいってくるのかもわかりにくくなってしまいます。
さて、気密測定の手順ですが、気密測定はこのような機械を使って行います。この馬鹿でかいバスーカみたいな機械で家の空気を外に排出していきます。家の中の空気を排出するので、宅内が負圧になって隙間から空気がはいってくる時間などを調べて隙間面積を想定するそうです。
機械を設置してもらっている間、窓やドアなど閉めてまわります。
換気扇や給気口など、こんな風に穴が空いているところは大きな隙間なので、、、、
このようにテープで目張りしていきます。えー、目張りしたら隙間をはかる意味ないのでは?と思われますよね! 気密測定は、意図していない隙間を測定するために行うので、このような意図した隙間は目張りして計測していいことになっています。
ちなみに、サッシや玄関ドアの隙間はテープなどは張るのはNGです。わかりやすくいうと、古民家も木製建具などは建具周り隙間だらけですよね。サッシごとに気密性能が違います。隙間が多い気密性能の低いサッシでは、当然そこから空気が流入します。というわけで、昨今のサッシは断熱性能だけでなく気密性能も求められます。
もちろん、今回の測定ではすでに取り付けているサッシにはテープなど張っていません。
排出する空気でできた負圧が隙間からの空気で圧が下がる時間と、バズーカ横のこのチューブからも空気を吸って、排出する空気量の差も測りますということでした。このような計測を5回くりかえして、家の隙間面積がわかるという仕組みです。
当社では気密測定を日本住環境(NJK)さんにお願いしています。 NJKさんは、住宅の気密・通気材のメーカーさんです。気密材や通気材の施工などでわからないときはいつも相談に応じてくれます。
スイッチON!
ゴーゥと空気を出す音がする中、、、、と書きたいところなのですが、5回のうち最初の検査が終わったところで、
NJKの担当サン「これきっといい数値でますよ。ファンの音が静かなのと、検査時間が短かいですから」
わたし「????」
確かに今までの検査のなかでは一番、ファンの音が小さい! 検査終了までもすぐでした。
「はい、検査終了です!」
C値=0.1cm2/m2 でした。
高気密住宅の目安であるC値=1.0以下でしたので、高気密住宅といっても大丈夫です!
この家の意図していない隙間は18cm2(3cm*6cm)。SDカードわずか2枚半ぐらいでした。大工さんと現場監督のていねいな気密工事の賜物です。感謝。
ただし、今回の気密測定では玄関建具と一箇所だけ窓がはいっていなかったので、そこにベニヤなどを当てて目張りしての測定でした。そこに玄関建具や窓がはいったらどれぐらいの数値になるのか。NJKの担当さんはC値=1.0を越えることはないですといってくれていましたが。
2019年12月 他のおうちでも気密検査をおこないました
2019年末に、東大阪市で新築工事中の現場で気密検査を行いました。
検査結果は、
C値=0.6cm2/m2でした。
1.0未満なので、計画どおりの換気が行われます。検査員の方からは薪ストーブの煙突の開口部あたりに隙間がありそうだというお話でした。
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今回もご精読ありがとうございました。
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