中古住宅物件の古民家や町家を購入前の注意点! リフォームやリノベーションをする前に知っておきたいこと!
こんにちは。輝建設のコハラです。
今日は、私どものような古民家の工事をよくしている工務店ならよく受ける相談、
郊外の古民家や市街地の町家を買って古民家再生リフォームしたいんだけど。。。。
Aさん
工務店歴19年目になった私がどう答えているかお伝えします。上の質問される方はだいたいウェブサイトなどを見て工務店や設計事務所なんかに電話されると思います。(最近はメールかもしれませんが)。で、私は電話を受けてあれこれお話を聞く前に下のように質問します。返事はだいたい2パターンですかねー。
だいたいどのエリアでどれぐらいの広さの敷地で何軒ぐらい建物が建っていますか
コハラ
(郊外の)○○市にある敷地が200坪ぐらいの、もともと農家さんのお家なんです。母屋の他に、離れ、蔵、あと長屋門があって、、、、、、、
Aさん
というのが、パターン1。
大阪市内で、町家なんです。30坪ぐらいなんですが、庭は奥の方にほんのちょっとあるぐらいで、、、、、、、
Aさん
というのがパターン2。
このやりとりの目的はといいますと、、、、、、、、
追の棲家になる家を、あなたが快適に暮らせるようにするための費用と維持費を確保するためです!
コハラ
郊外の古民家と、市街地の町家では考えかたも変わってきますので、まずはパターン1の郊外の古民家の場合の説明をして、次にパターン2を説明します。
目次
中古住宅物件の古民家の購入前に知っておくべきこと!(大阪・京都・奈良の場合)
では、ちょっとやりとりを巻き戻して、、、、、、
郊外の古民家や市街地の町家を買って古民家再生リフォームしたいんだけど。。。。
Aさん
だいたいどのエリアでどれぐらいの広さの敷地で何軒ぐらい建物が建っていますか
コハラ
(郊外の)○○市にある敷地が200坪ぐらいの、もともと農家さんのお家なんです。母屋の他に、離れ、蔵、あと長屋門があって、、、、、、、
Aさん
できるだけ、建物がたくさん建っていない物件を購入された方がいいですよ
コハラ
なぜなら、建物がいっぱいあると将来のメンテナンス費用がかさむからです。古民家でないよく売りにでている中古住宅はだいたい1敷地に1建物。しかし、郊外の古民家の場合、敷地内に複数の建物があるのがほとんど。
・母屋
・離れ
・蔵
・長屋門と土塀
当社事務所、石切ヴィレッジの建物群です。建物が7つあります。
だいたいこれぐらいが古民家標準セットになっています。もちろん、購入されてから全てをリフォームやリノベーションの工事をすることは考えていないでしょう。希望と予算のバランスをとりながら、優先順位をつけてと腹積りされているはずです。しかし、工事範囲が相談主さんが考えている建物だけに留まらない場合があります。
例えば、先ほどの古民家標準セットが大阪の近郊で200坪の敷地で3000万円ぐらいで売りに出ていたとします。母屋だけを古民家再生リノベして住む予定で購入を検討。母屋は雨漏りもしていなさそうだし、外壁もそんなに傷んでないし。。。。とりあえず、触らなくて良さそう(ラッキー)ということは、水回りを中心に2000万円ぐらい工事予算は捻出できそう。これぐらいあればだいたいのことできるんじゃないかなー。いけそうかなー。総額5000万円かー。共働きだし、なんとかなるかなー。夢だった古民家暮らしだし、、、買ってみてもいいかなー。グラグラ(←心が揺れる音)。
でも、ちょっとまったー!!! 今すぐはそれでいいかもしれません。しかし、今後30年ぐらいに起きうる、想定外の工事を考えてみましょう。
- 昭和時代に葺いたであろう母屋の屋根のやりかえ。
- 離れの板金屋根が台風で飛んでいき、屋根のやりかえ。
- 車が度々土塀に突っ込むので土塀補修
- 蔵の土壁が剥落して補修
- 少し手狭になってきたので離れを活用するために内装を床と壁、やりかえ。
- 板塀の柱が腐ったので板塀をやりかえ。
- 敷地の雑草が生えすぎるのでシルバー人材センターに毎月、雑草対策を依頼
- 大きく生い茂ってきた木を造園屋に一本倒してもらった
などなど、いろいろ起きそうですねー。まあ、起きないかもしんないですしーーー、、、、って、これ、うちの古民家事務所でこの7年以内におこなった工事です。
工務店の事務所の古民家でもわずか7年の間にこんなことが起きてしまいます。古民家は新築や築浅の中古住宅よりも家が経年劣化しているだけでなく物件的にはひとつの不動産に複数の建物を所有していることが多いです。
古い建物が複数あることでメンテナンス工事の可能性がぐっと上がるのをわかっていただけたのではないでしょうか。
ちなみに当社は、500坪の敷地に江戸時代の建物を筆頭に、昭和30年代のプレハブまで7つの建物があります。8年前に事務所としてオープンさせるにあたって、あれこれ工事をしましたが、なにかしら工事が発生するとは考えていましたが、具体的にどのような順番になおしていくのかということまでは想定していませんでした。
なので、郊外の古民家を購入して、、、、というご相談をうけたとき、「敷地に何軒建物がありますか?」と質問し、「できるだけ、建物がたくさん建っていない物件を購入された方がいいですよ」とアドバイスさせてもらっているのは、、工務店としてお客さんの建物だけでなく、自社でもいろいろメンテナンスが発生するなあということを痛感しているからです。
DIYでメンテナンスするにしても建物は小さく、少なくが基本
昔のように多世代で複数の家族が住んでいれば男手がたくさんあるでしょうし、家の近くの田畑や地場産業などで働く職住接近で通勤時間も短く家にいる時間も長かったりすればDIYでいろいろと手直しもできたでしょう。
しかし、親子3人の核家族で稼ぎ手が遠方まで通勤。勢い、ワンオペ育児に近い状況にならざるを得ないというような状況が、郊外に家をもとめるご家族は、新築や中古住宅関係なく多いと思います。ということであれば、週末は家族でのいろいろな雑事に時間に割かなければならず、古民家生活に憧れて購入、DIYでメンテナンスということであれば作業の進捗は著しく遅いと思います。
その間の生活もあるでしょうから、いつまでも不便なままでというわけにもいかないのでどうしても職人さんの力を借りなければいけません=お金がかかります。お金をすべて、家の維持に使うわけにはいきません。実際に使える予算、ある程度発生するであろう工事の支払いをも想定した上で、古民家を維持できるかどうかを、購入するときの判断ポイントにしなければいけません。
DIYで土壁解体した時の時間と費用のことをブログにしていますのでご参考まで。
中古住宅物件の古民家を購入するときの費用を3つに分けて考える
中古住宅物件を購入するときはなかなか何十年後のメンテナンスまで思いがよらないものです。なので
1)買えるお金ある
2)フルリノベする予算ある
まではなんとなく皆さん予想されているようですが、
3)古民家の維持費用まかなえる
という視座からも購入を検討していただきたいです。古民家の工事単価はなかなかネットではわかりにくいですが、(3)の概算も工務店さんに相談できればいいですね。購入される前に新しい住処で、リノベーションやリフォーム後に、どんな工事が起きそうなのかとその予算をある程度把握しておかれることをお勧めします!
将来のメンテナンスコストも、中古住宅物件探しのひとつの指針にしてください。
中古住宅物件で市街地の町家の購入前に知っておくべきこと!(大阪・京都・奈良の場合)
冒頭の会話パターン2に戻ります。
だいたいどのエリアでどれぐらいの広さの敷地で何軒ぐらい建物が建っていますか
コハラ
大阪市内で、町家なんです。30坪ぐらいなんですが、庭は奥の方にほんのちょっとあるぐらいで、、、、、、、
Aさん
ざくっと、やり残した感ないぐらいの工事をするとなったら少なくとも3000万円〜4000万円ぐらいかかりますよ、、、、、、
コハラ
大阪市内や京都の真ん中の町家ですから、そこそこの大きさですと坪単価が100万円オーバーはするでしょう。家を買うだけで3000万円から4000万円ぐらいでしょう。通勤の便もいいですし、売る時も値が大きく下がることもないのでどうしても高値になるのは仕方がありません。町家ですとその敷地いっぱいに建っているでしょうから、建築面積が25坪ぐらいで2階があったりして延床面積が40坪ぐらいになりますよね。その素材の家の、、、、
こけている柱をそこそこ直して
耐震補強工事もして
屋根瓦もやりかえて
床組やりかえて
左官壁塗り直して
水回りいじって
何十枚もある木製建具を直して
というようなことをしていくと新築の家が一軒建てれるぐらいになります。
全部やりきった感のある古民家再生リノベーションなら、最低でも3000万円。だいたい4000万円ぐらいかかるのではと、見てない状況からでも推測します。あと、市街地の町家は駐車場がほとんどありません。で、住み始めてから駐車場が別でだいたい月に15000円から20000円(駐車場代、バカになりません。年間20万円近くの出費です)。
というような予算観をざっくりお話しします。街中の町家購入からの再生工事は土地購入で予算喰うので住居としての再生工事のご依頼はごく稀です。(お手持ちの町家を住まいとしての改修工事のご依頼はまた別です)
奇跡的にすごく程度のいい町家をみつけて、水回りの補修ぐらいですめば2-300万円ぐらいの工事で済むかもしれません。が、今までそんな家のご相談をうけたことはありませ。まあ、うちらのような工務店には相談する必要ないのですから、相談ないのも当たり前かもしれませんが。
古民家や町家を宿などの宿泊施設や、カフェやランチ専門レストランなどに貸し出す
ところで、町家では最近はインバウンド需要増大でゲストハウスやコーヒーショップなどの店舗への改修工事の相談が増えてきています(なかなか工事までにはいたりませんが)。やはり、投資として捉えてその場所で生活するだけでなくお金を生み出す経済活動が伴う兼用住宅や商業施設の方が工事費用の借り入れと返済の計画を立てやすいのかもしれません。
なので、全くの住処のみとして市街地の町家を買って改修工事するのであれば、なにかご商売されているとかでないとなかなかしんどいのでないでしょうかということもアドバイスしています。
それでも、どうしても町家を買って住みたいんです。。。という場合は1階や離れを民泊として貸し出して月々の支払いに回せるような副業を家で初めて見ることも検討されてはどうですかというようなこともお伝えしています。
これまでに大阪市(新築)、奈良市(町家)、南河内群(古民家)で民泊でなく宿泊業の許可を取るところまでの、各種申請と建物の設計業務と工事をさせていただいています。宿泊業以外にも事務所やお店として部分的に貸し出すこともできますし、ご自身でなにか士業などされているのであれば、経費として落とせる部分もあるはずです。
住みたい場所と住みたい建物と予算との中でものすごく悩ましいですが、買うところが終点ではありません。住みたい建物になるような工事をする費用は確保しておいてください。で、維持保全のための生涯にわたる資金計画も念頭においてご購入をご決断ください!
町家の場合は、隣との間がつまっていてどのようになっているかみえない、隣の家と壁を共有しているなどがある物件などを購入する場合はよく検討してからご決断ください。
うーん、困った。よくわからんというときは、この工務店や設計事務所に将来の工事を相談しようというところに見学などいっておいて、ひとことふたこと、直接アドバイスをもらえる人間関係を作っておくことが大事です。
ネットや見学会などでいろいろ調べることができますが、やっぱり直接、人から得る情報を直接的で的に向かって突き刺さるいい情報をもらえますから! いい例えかどうかわかりませんが、ホリエモンこと堀江さんはスマホで46時中、ニュースアプリやSNSなどで情報収集しているそうです。が、夕食は必ずだれかととるそうです。もちろん、だれかとご飯を食べると楽しいからということもあるでしょうが、直接人とあって得られる情報の質が高いということでそのように習慣づけていらっしゃるそうです。
最後は、工務店や設計事務所さんの工事関係者にかかわってもらうのですから、その人たちとも人脈を作っておくというのは大事だと思います! うちの古民家ブログを見つけていらっしゃるということは、もうすでに気になる工務店さんや設計事務所さん目星つけていると思います。
見学会など行ったりして、ちょっと相談にのってもらえるような人間関係あると、なんかどうしよーというとき安心ですよ!